2013年2月8日金曜日

SSメモ:ヴァルハラ学園物語

ヴァルハラ学園物語(久櫛縁)

たぶんに思い出補正も強く影響していますが、いまでもちょくちょく読み返しているのがこのヴァルハラ学園物語シリーズ。典型的な学園ファンタジーモノで、現在のテンプレにつながる要素もチラホラ。星の図書館というサイトに掲載されていたので、そちらの名前で知っている人の方が多いかもしれません。

基本的に話しの内容はコメディで構成されています。苦労人主人公のライルが周囲の仲間が読んでくるトラブルに巻き込まれてひぃひぃ言ってる感じ。たまに自爆してたり。ノリが完全に中学生なので、展開も文体も今読み返せば苦笑いせざるを得ない箇所もいくつかあったりします(爆発オチとか文字の大きさ変えるとか)。それをつまらないと判断するか生暖かい目で見るかは読み手に委ねますが、個人的には当時のお約束、というものを懐かしがりながら読むと結構楽しめると思います。もちろん元々の内容も面白いので、初めて読む人も文体に対する嫌悪がなければのめりこめるはず。

しかしギャグ・コメディ小説につっこむのはやぶさかなんですが、主人公のライル以外まともな人がいないのはどういうことだw ヒロイン(?)の暴走魔法少女のルナ(決して暴力ヒロインではないと信じたい。原型ではありそうだけど)はもちろん、脳筋大食らいのアレンに女装趣味の王子クリスといったパーティメンバーの個性豊かさといったら、さぞ苦労しそうだなぁと思わされるメンツばかり。そこに精霊のシルフィもまじってどんちゃん騒ぎなのだから、ライルの苦労が忍ばれる。そして一番涙するのはもうそういうポジションでいいよと諦めがついているライルの達観根性ですねー。ストーリー中、一瞬だけ反抗期になるわけですが、即座に元通りのポジションに戻るあたり、本当そういう星の下で生まれたと思わないとやってられないのかもしれませんが。

ただ、この作品を語る上でやはり避けられないのが外伝や番外編の存在。大昔の勇者ルーファスが蘇ったの話やその子供の話もさることながら、勇者が魔王を倒す旅をダイジェストに掲載している「ゆうしゃくんとなかまたちシリーズ」は傑作もの。正直個人的には本編よりこっちの方が好きだったりします。本編と同じく基本ギャグ・コメディな作風なんですが、たまに出てくるシリアスで切ない話が尋常じゃないくらいの破壊力で襲ってくるので、油断なりません。この話を読んで改めて本編を読んだ時、こういう平和な生活ができているのは過去にこういうことがあったからなんだなぁ、というのをしみじみ感じさせてくれます。でもやっぱりギャグものなので笑っちゃうんですけどね!