2012年8月27日月曜日

SSメモ:小池メンマのラーメン日誌

小池メンマのラーメン日誌(岳)

うはは、馬鹿だ、馬鹿たちがいる!!
なんなんでしょうね、このSSの登場人物たちは。敵も見方もひっくるめて、どうしてこんなにおもしろおかしくなっちゃってるのかw びっくりするほどユートピアネタを、まさかナルト SSで読むとは思いませんでした! しかもそれが後々に微妙に本筋と絡んでくるし。

ギャグパートは圧巻の一言。各所からパロディネタひっぱってきては、それがまたいい具合に本筋に影響を与えていて、構成力の高さが伺えます。しかもギャグだけかとおもいきや、主人公の思いや登場人物の感情、原作ナルトの雰囲気を損ねることなく、まじまじと作者の頭にあるストーリーがまるで本編だと思わせられるほど、優秀な物語仕立ても存在する始末。最近ナルト本編を読んでて、あれこれってそういう設定だったっけ、と思わず間違えてしまうほどかなり設定が作りこんであります。
ギャグよし、シリアスよし、物語よし。
おい、誰か座布団3枚ほど持ってきなさいw

まぁ、それはさておくとして。

ぶっちゃけ最初読んだ時は、つまんなかったんですよね。冒頭からして「うずまきナルトになってました。生前の名前は思い出せません(文章そのまま引用)」ですよ。あー、また転生やら憑依やらのテンプレか、と。実際序盤の物語の構成から文体まで、完全にノリで書きました!な雰囲気でしたから。そりゃもうこっちからしたら見飽きたもので、人によっては最初の一話で切るレベル。童女になった九尾のキューちゃんて……。もうちょいマシな設定とネーミングセンス考えろよ、と(笑)
ところがどっこい、中忍選抜試験あたり(8話ぐらい)からネタと文体がちょうどいい具合にミックスされ、物語の展開にしたがって徐々に文体がしっかりとしてきます。ここからギャグとシリアスが絶妙に交じり合い、笑いあり涙ありの感動大作が登場するわけです。ここまで途中から文体が変わる作品も珍しいとおもいます。

いやー、この作者頭のネジがいろんな方面に飛んでってるわ。
あっちこっちからネタを拾ってきては、自分の物語の中に応用していき、かつ本筋のシリアスな展開からは逸脱しないという破茶目茶な構成。しかし、それがうまい具合に我々読者を飽きさせないスパイスになっているのだから恐れ入る。もしかしたら10代の人にはネタが伝わらないかも知れないが、おそらくネタを知らなくても面白いだろうし、ぐぐって読み返すとさらに面白くなるだろう。

それにしてもなぜこの物語の男たちはひたすらに尻にひかれているのだろうかw しかもそれでいてそこはかとなく不憫というか報われないというか……。主人公ナルトこと小池メンマを始め、サスケやシカマルに至るまで、おいおいお前ら泣く子も黙る忍者だろ。もう少し頑張れよと言いたくなる始末。いや、実際は最後にちゃんと報われたんだけど、しかしそれでも胃薬が手放せないってどうなのよシカマルw

なんにせよ、面白いことは間違いない一作です。
原作が終わっていない状態で、いかに黒幕とかを帳尻合わせするか作者も非常に迷ったみたいですが、ぜひすべてをご覧になったあとに作者のあとがきでも読んで、納得するラストを迎えて下さい。原作のリスペクト具合も非常に高く、かつオリジナルに富んだ展開は、ナルトSSの中でトップをぶっちぎり独走していると言っても過言ではありません。いやぁ、面白かった。

キューちゃんマジ九尾。