2012年9月15日土曜日

SSメモ:―THE LEGEND OF DRAGON―

―THE LEGEND OF DRAGON―(YAN)

ちょっとした前書き。

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今回掲載するSSメモはブログに載せていいものかと非常に悩んだのですが、ネット上で検索すれば見れるからいっかと開き直って掲載しています。作者様かサイト管理者様からクレームがあれば記事ごと消すつもりなのでご勘弁を。ちなみに該当SSはDragon000〜059及びDragon.bangai.01〜05です。同作者の別作品も同ページに存在しているので注意。
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ポケモン×ダークファンタジーという非常に稀有な組み合わせのSS。ポケモンSSの中でも極めて異色なものであり、少なくとも今流行(?)の転生者がゲーム知識いかして無双するSSを好む人は観閲注意です。普通にポケモンが死んだり、人が死んだりします。そもそもダークファンタジーですしね。

しかしまぁ、なんと重厚な空気感を醸し出すSSだろうか。
ポケモンの技やタイプ特性を生まれつき持ち合わせる亜人という人種、戦乱が終わってなお取り巻く慌ただしい雰囲気、そしてポケモンにも人にも牙を剥く「死獣」という存在。ポケモンバトルという概念は廃れ、人も亜人もポケモンと共に戦うことが前提であり、軍という組織まで存在する。

本当にこれがポケモン世界なのかと疑われるかもしれませんが、読めばなるほど、こういうポケモンの世界もありなのかな、と納得します。もしかしたら空気としてはポケットモンスターSPECIALの初期に似てるかもしれませんね。イワークで人を締め付けたり、人をじわれで落としたり、10万ボルトを人に浴びせたり……うん、よく考えればあの作品小学生向けの雑誌で連載してはいけなかったんじゃないのだろうかw

実は世界観や異色な組み合わせの割に、ストーリーはひどく王道なんですよ。主人公のブレスは竜王族というドラゴンタイプの亜人で、ボーイかどうかはともかくミーツガールするところから、本格的に物語が始まります。それまで弟子やら賞金稼ぎやら謎の敵やらおっかないお姉さんキャラが出てきて、いろいろ世界観を固めていくわけですが、間違いなく物語の始まりはヒロインであるファリンというミュウを連れた謎の少女との出逢いですね。
記憶喪失なファリンの記憶を取り戻すため、いろいろと旅をはじめるわけですが、これがまた次々とビックスケールな話になっていく様は、さながらラピュタのようです。突飛な世界の割に堅実なストーリーが展開され、当然黒幕やら死獣の謎というところまで言及し、涙あり別れありの一つのサーガが形作られていくんですよ。風呂敷がどんどん広がっていくこの世界観、たまんないくらいワクワクしませんか?

なんというか、今のポケモンSSで足りないと感じるのはこういうところなんですよね。確固たる世界観を作れていないのと、安易にポケモンバトルを描写しているところと、目的の分からないストーリー展開が続くところ。こうした作品が当たり前というのはちょっといただけない。このSSが示している通り、割りとポケモンっていろいろ話を広げる下地があると思うんですよね。ファンタジーな世界にそのままポケモンのタイプ概念と技を導入すれば、それだけで列記とした魔法体系に匹敵するほどのシステムにもなりうるし。できればこういうポケモンSSがもう少し増えて欲しいところ。あ、でも「ゼクロムに・・・!!」はご遠慮ください。