NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~(熊雑草)
変態だーーーっ!!
何この主人公のヤオ子、女なのに変態とドスケベ通り越して、もはや歩く猥褻物じゃねぇか! これみよがしにセクハラしてはお仕置きされ、銭湯入店禁止はもちろんのこと、ヤオ子の服装=変態注意の概念になるとかどうなのよ!? このエロに対するこだわりの深さと潔さ、そして何よりもその執着心!! こいつ、すっげぇ馬鹿だ。馬鹿な上に変態だ。そして変態で、なにより変態だ。極めつけに変態だ。この変態がっ!(褒め言葉
ただ、ヤオ子が単なる変態だったら物語もそこまで進まないんですよね。馬鹿で変態だけれども、優しくて献身的で努力家で、やっぱり普通の女の子の感情もあるわけですよ。そんな女の子だからこそ、サスケは見過ごせなくて自分と重ねてついついかまってしまうんです。かぁーっ、なんとも甘酸っぱい青春の匂いじゃないですか。
この作品、実は変態だけじゃなくて地味ーにいろんなテーマを内包しているんじゃないかと思う時があります。大人になることや受け継ぐことあたりが一番読み取りやすいものじゃないでしょうか。だいぶ露骨に描かれているので、結構わかりやすいはず。たぶん。もしかしたら勝手な思い込みかもしれませんが。……もう思い込みでもいいや。ともかく、いろいろ読者に伝えたいことがあると思っているんです。で、その中でも特に感じたのは変態についてです。もちろん単に「変態」を伝えたかった! という意味ではなくて、変態という「個性」(もはや死語か?)についてです。
変態はヤオ子のアイデンティティです。8割は変態と自負するくらいには、自分が変態だと認めています。つまりはそれがヤオ子の個性なわけです。自分なりの言葉で言い換えれば、この変態という個性こそがヤオ子の行動原則であり、その原則から外れる行動はしないわけです。だから周りはみんなヤオ子を変態だといい、ヤオ子自身も自分を変態と称するのです。ここに何かしら作者の言いたいことが見えませんか? すなわち、自らの行動原則を自ら律することで、他人からの評価を決定することができる、ということ。読み流しててふとこういうことが思いついたわけです。まぁ国語の成績が10段階評価で7という微妙な人の戯れ言だとでも思って流して下さい。
なぜか真面目な話題になってしまったので本題。
それにしても驚いた。いや、変態に驚いたわけじゃなくて、このSSの展開にです。
ぶっちゃけ文章力に関してはそこまでうまくないし、シナリオも打ち切り気味で(これはまぁNARUTOという作品を考えればそうせざるを得ないのですが)なんちゃって完結というどうにもしまりが悪い終わりなんですが、特筆すべきは物語の展開です。このSSの連載当時、たしか原作ではまだ穢土転生で各里の忍を復活させるところまで描かれてなかったはずなんですが、まさかの先にそれを描くという先取りっぷり。それを可能にしたのは、原作に対する鋭い考察なんですよね。
この作品、随所で原作の矛盾点やおかしな点を指摘しており、それらを単にアンチするわけではなく独自に考察を深めては、さもありなんという結論を出すんですよ。その入れ込み具合はラーメン一楽のスープの味についても言及する始末。いやはや、ここまで独自に考えられるのもすごいことです。それだけ原作を読みほどいており、なおかつリスペクトしているんだなぁ、と素直に感じさせられます。二次創作好きの一読者として、作者の作品への愛を讃えたい。
原作に沿ったストーリーで、サスケ救済に立ち向かう1人の女の子を描いた大作です。やっぱりこのSSを表す一番の表現はこれしかないでしょう。
『八百屋のヤオ子さんが、サスケさんを健気に待ち続るはずの物語』
(NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ 第116話より)
2012年9月10日月曜日
2012年9月9日日曜日
SSメモ:未完成の城
未完成の城(Xeno)
KanonのSSってこの界隈では有名なほど魔改造されたものが多いわけですが、ぶっちゃけるとそうしたSSのほとんどが名前とちょっとしたセリフを変えるだけで普通のファンタジー小説に成り下がるんですよね。何が言いたいかというと、どんなにKanon魔改造SSで面白い!と言われようと、冷静に作品を見るとただの厨二病ファンタジーにしかならなくて、ちょっとゲンナリすることが多いわけです。で、本作「未完成の城」はそんな感じにスレているときにおすすめされて読んだわけですが。。。
これはまいった。
普通に面白い。普通を通り越して面白い。
他のKanonのSSと同様、相も変わらず原作「Kanon」の主人公祐一くんがU-1くんになっていますが、この戦記的な空気と独特な世界観がもうそんな些細なこと気にすんな!と言わんばかりに読ませてくれます。KanonのSSに共通する序盤の定番やりとりさえ乗り超えてしまえば、あとはもう原作はどこ吹く風、ひたすらファンタジーな世界にようこそですよ。
なによりこのSSの一風変わったところは、KanonのSSでU-1モノにも関わらず、その強大な力を単純そのままに振るわないところですよ。単身で一都市を滅ぼせる力がありながら、平和を導くためにのみ使うその生き方に、言い知れない儚さを感じます。なんというか、この妙な空気感は祐一くんにだけあるものじゃないんですよね。この作品自体に、そうしたメッセージがあるというか、きっと作者の伝えたいことは、そういうことなんだろうと変な納得があります。もうなんか祐一くんが覚悟を決めるシーンとか、そうじゃない、そうじゃないだろ、と内心縋りつくように祈るように読み進めるわけですが、結局最初からこいつは変に優秀で自分の力を疑っていなくて、それでいて他人の力も疑ってないわけなんですよね。作中で祐一に対して「お前が10の力をもってるとして、おまえは他の人の力を3だと思っているだろうが、実際は1かそれ以下なんだ」とちょっとだけ諭すシーンがあるんですが、まさにそんな感じなんです。なまじ優秀な分、他人の上限までも引き上げちゃって、自分がいなくても大丈夫だという妙な断定を作っちゃうんです。こういう子だもんなぁ、この祐一くん。変にねじ曲がっているよりよっぽどいいけど、これはこれでたちの悪い素直さです。
さてさて、間違いなく主人公が中心となって物語が進んでいるわけですが、祐一くんもさることながら祐一くんを支える周囲のキャラクターが素晴らしい。この祐一くんに対する絶対なる信頼感と、その信頼の裏にある致命的な過信と、そして何が何でもこいつだけはという執念にも似た意地が、胸の奥底で眠っている何か巨大な感情を沸き起こしてきます。ある意味でそれは激情にも似た何かであり、愛と同じ存在であり、感銘に打たれる場所そのものなんでしょう。感情は留まらず引き伸ばされ、やげて希釈されてまた心の奥に眠ってしまうんでしょうが、過去に発見され、現在自覚し、そして未来に忘れ去られるまで、生きていく原動力として自分の中でアクセルを鳴らし続けるものになると思います。
それにしてもこの作者、キャラの散り際を描くのが非常にうまい。
語弊を恐れずに言えば、どんな風にキャラクターを殺せば、そしてどんな風にそれを描写すれば、その死というものを単なる死ではなく意味のある死にできるかということを非常にうまく捉えている。戦記モノなので人の生死は隣り合わせにあるわけですが、それにしたってあんな散り際見せられて、あんな描写の仕方をされると、そりゃあ心が揺さぶられるやい。あぁ、ちくしょう、作者の思う壺とわかりつつも、反応せざるを得ない。悔しい、でも感じちゃ(ry
とりあえず現状で第一部は終了しているので、ある程度後ぐされなく物語を楽しめるとは思います。2部やら外伝やらを読んでしまうと、間違いなく中毒者になってしまうので用法用量にはご注意ください。
KanonのSSってこの界隈では有名なほど魔改造されたものが多いわけですが、ぶっちゃけるとそうしたSSのほとんどが名前とちょっとしたセリフを変えるだけで普通のファンタジー小説に成り下がるんですよね。何が言いたいかというと、どんなにKanon魔改造SSで面白い!と言われようと、冷静に作品を見るとただの厨二病ファンタジーにしかならなくて、ちょっとゲンナリすることが多いわけです。で、本作「未完成の城」はそんな感じにスレているときにおすすめされて読んだわけですが。。。
これはまいった。
普通に面白い。普通を通り越して面白い。
他のKanonのSSと同様、相も変わらず原作「Kanon」の主人公祐一くんがU-1くんになっていますが、この戦記的な空気と独特な世界観がもうそんな些細なこと気にすんな!と言わんばかりに読ませてくれます。KanonのSSに共通する序盤の定番やりとりさえ乗り超えてしまえば、あとはもう原作はどこ吹く風、ひたすらファンタジーな世界にようこそですよ。
なによりこのSSの一風変わったところは、KanonのSSでU-1モノにも関わらず、その強大な力を単純そのままに振るわないところですよ。単身で一都市を滅ぼせる力がありながら、平和を導くためにのみ使うその生き方に、言い知れない儚さを感じます。なんというか、この妙な空気感は祐一くんにだけあるものじゃないんですよね。この作品自体に、そうしたメッセージがあるというか、きっと作者の伝えたいことは、そういうことなんだろうと変な納得があります。もうなんか祐一くんが覚悟を決めるシーンとか、そうじゃない、そうじゃないだろ、と内心縋りつくように祈るように読み進めるわけですが、結局最初からこいつは変に優秀で自分の力を疑っていなくて、それでいて他人の力も疑ってないわけなんですよね。作中で祐一に対して「お前が10の力をもってるとして、おまえは他の人の力を3だと思っているだろうが、実際は1かそれ以下なんだ」とちょっとだけ諭すシーンがあるんですが、まさにそんな感じなんです。なまじ優秀な分、他人の上限までも引き上げちゃって、自分がいなくても大丈夫だという妙な断定を作っちゃうんです。こういう子だもんなぁ、この祐一くん。変にねじ曲がっているよりよっぽどいいけど、これはこれでたちの悪い素直さです。
さてさて、間違いなく主人公が中心となって物語が進んでいるわけですが、祐一くんもさることながら祐一くんを支える周囲のキャラクターが素晴らしい。この祐一くんに対する絶対なる信頼感と、その信頼の裏にある致命的な過信と、そして何が何でもこいつだけはという執念にも似た意地が、胸の奥底で眠っている何か巨大な感情を沸き起こしてきます。ある意味でそれは激情にも似た何かであり、愛と同じ存在であり、感銘に打たれる場所そのものなんでしょう。感情は留まらず引き伸ばされ、やげて希釈されてまた心の奥に眠ってしまうんでしょうが、過去に発見され、現在自覚し、そして未来に忘れ去られるまで、生きていく原動力として自分の中でアクセルを鳴らし続けるものになると思います。
それにしてもこの作者、キャラの散り際を描くのが非常にうまい。
語弊を恐れずに言えば、どんな風にキャラクターを殺せば、そしてどんな風にそれを描写すれば、その死というものを単なる死ではなく意味のある死にできるかということを非常にうまく捉えている。戦記モノなので人の生死は隣り合わせにあるわけですが、それにしたってあんな散り際見せられて、あんな描写の仕方をされると、そりゃあ心が揺さぶられるやい。あぁ、ちくしょう、作者の思う壺とわかりつつも、反応せざるを得ない。悔しい、でも感じちゃ(ry
とりあえず現状で第一部は終了しているので、ある程度後ぐされなく物語を楽しめるとは思います。2部やら外伝やらを読んでしまうと、間違いなく中毒者になってしまうので用法用量にはご注意ください。
2012年9月8日土曜日
SSメモ:正義の烙印
正義の烙印(朔夜)
二次創作というのにこの救いようの無さだよ。
ある意味で原作Fate/Zeroの暗い空気をよくぞまぁこんなにも丁寧に再現したものだ。これ書いてる当時、Zeroという作品は話の筋しか情報なかったはず(多分)なのに、ここまでダークな雰囲気を表現できているのは脱帽モノです。
SSのコンセプト的には第4次聖杯戦争にエミヤシロウを混ぜてみた、というありふれたものですが、異様にこの切嗣とエミヤのコンビがマッチしている。こいつらに奇襲させたら厄介にもほどがあるぜぇい……。どこかの作品の考察で切嗣は真っ向から戦車で突入するセイバーを召喚してしまったがゆえに戦争に負けたと考察しているサイトがあったが、このSS読んでるとあながちその考察も間違っていないように思えてくる。改めてこいつほど正攻法が似合わない男もいないと実感。
実際のところ物語終盤にかかると、FateのSSを読み慣れているせいか、おおよそこの話の終わらせかたが見えてくるんですよね。結局のところエミヤは皮肉屋で冷酷で捻くれていて、それでいて優しくて不器用でひたむきに頑固で……そんなエミヤが切嗣のことを恨んでいるとはいえ救おうとしないわけないんですよ。
本筋では結局直接的にそうした描写をしませんでしたが、もうさりげなく……そっと背を押すくらいさり気なくアイリスフィールとの過去回想を入れることで、エミヤの内心を表現するこのギミック。もうこんなの反則ですよ。あぁ、その場面がまじまじと想像できてしまう。アイリスフィールの冷たくなった手が、硝煙に焼けたエミヤの頬が、有り得るはずのない母と子の邂逅が。
「もっと良く顔を見せて。私は貴方を知らないけれど、あの人の子であるのなら。私にとっても、大事な息子よ」(正義の烙印 act.11 より)
雪解け水も流れだすような暖かさと言い知れない寂寥感の混ざったこの感覚を、なんと呼べばいいんでしょうね。冒頭で救いがないと言いましたが、ある意味ではこういうところに作者の思い描く救いがあるのかもしれません。犠牲という烙印を押すことでしか正義を示せない不器用な二人。一方はこのSS内で息子に理想を奪うことで、一方はこのSSではない遠い並行世界で理想を叶える過程を無駄なんかじゃないと己に諭されることで、それぞれ答えを得るわけです。
あー、そういう意味では救いようのない物語でもないのか……? どうなんでしょうね、ぶっちゃけ生存者数変わんないけど、生存者の状況が原作よりほんの少し救いようがあるわけですから、原作ほど救いようがないわけじゃあないですけど、それでも生存者数変わんないあたりやっぱりこれ救いよう無い物語だよなぁ。
しかし、昨今Fate/Zeroの文庫化&アニメ化で人気があがり、多くの二次創作が出た中でこのSSを見返すといろいろと感慨深いものがある。実は一部の原作キャラクター削ってオリジナルキャラクターを大量に投入しているわけですが、まぁ作品の生い立ちと時代を考えればそれも仕方のないことですよね。ただしライダーやらウェイバーといった主要人気キャラは変わっていないのでご安心を。あ、でもCOOOOOOOLな旦那とかいないな。まぁ、あいつらはいいか(
しかしそのために所謂第4次の最大の見所であるイスカンダルVSギルガメッシュがないとか(ただし代わりとなるウェイバー成長要素はある)、アルトリアとランスロットのやりとりがないとか、結構重要な要素が抜けているんですが、おそらくそうしたものは続編の「烙印を継ぐ者たち」で補完するんでしょうね。うばぁ、早く続編が読みたい。なにせこの続編、期待いっぱいな出だしと上記の要素を予期させるサーヴァントの面々が登場しており、さっそう期待するなと言う方が無理なほど。うがー、続編はまだかーーー!!!
二次創作というのにこの救いようの無さだよ。
ある意味で原作Fate/Zeroの暗い空気をよくぞまぁこんなにも丁寧に再現したものだ。これ書いてる当時、Zeroという作品は話の筋しか情報なかったはず(多分)なのに、ここまでダークな雰囲気を表現できているのは脱帽モノです。
SSのコンセプト的には第4次聖杯戦争にエミヤシロウを混ぜてみた、というありふれたものですが、異様にこの切嗣とエミヤのコンビがマッチしている。こいつらに奇襲させたら厄介にもほどがあるぜぇい……。どこかの作品の考察で切嗣は真っ向から戦車で突入するセイバーを召喚してしまったがゆえに戦争に負けたと考察しているサイトがあったが、このSS読んでるとあながちその考察も間違っていないように思えてくる。改めてこいつほど正攻法が似合わない男もいないと実感。
実際のところ物語終盤にかかると、FateのSSを読み慣れているせいか、おおよそこの話の終わらせかたが見えてくるんですよね。結局のところエミヤは皮肉屋で冷酷で捻くれていて、それでいて優しくて不器用でひたむきに頑固で……そんなエミヤが切嗣のことを恨んでいるとはいえ救おうとしないわけないんですよ。
本筋では結局直接的にそうした描写をしませんでしたが、もうさりげなく……そっと背を押すくらいさり気なくアイリスフィールとの過去回想を入れることで、エミヤの内心を表現するこのギミック。もうこんなの反則ですよ。あぁ、その場面がまじまじと想像できてしまう。アイリスフィールの冷たくなった手が、硝煙に焼けたエミヤの頬が、有り得るはずのない母と子の邂逅が。
「もっと良く顔を見せて。私は貴方を知らないけれど、あの人の子であるのなら。私にとっても、大事な息子よ」(正義の烙印 act.11 より)
雪解け水も流れだすような暖かさと言い知れない寂寥感の混ざったこの感覚を、なんと呼べばいいんでしょうね。冒頭で救いがないと言いましたが、ある意味ではこういうところに作者の思い描く救いがあるのかもしれません。犠牲という烙印を押すことでしか正義を示せない不器用な二人。一方はこのSS内で息子に理想を奪うことで、一方はこのSSではない遠い並行世界で理想を叶える過程を無駄なんかじゃないと己に諭されることで、それぞれ答えを得るわけです。
あー、そういう意味では救いようのない物語でもないのか……? どうなんでしょうね、ぶっちゃけ生存者数変わんないけど、生存者の状況が原作よりほんの少し救いようがあるわけですから、原作ほど救いようがないわけじゃあないですけど、それでも生存者数変わんないあたりやっぱりこれ救いよう無い物語だよなぁ。
しかし、昨今Fate/Zeroの文庫化&アニメ化で人気があがり、多くの二次創作が出た中でこのSSを見返すといろいろと感慨深いものがある。実は一部の原作キャラクター削ってオリジナルキャラクターを大量に投入しているわけですが、まぁ作品の生い立ちと時代を考えればそれも仕方のないことですよね。ただしライダーやらウェイバーといった主要人気キャラは変わっていないのでご安心を。あ、でもCOOOOOOOLな旦那とかいないな。まぁ、あいつらはいいか(
しかしそのために所謂第4次の最大の見所であるイスカンダルVSギルガメッシュがないとか(ただし代わりとなるウェイバー成長要素はある)、アルトリアとランスロットのやりとりがないとか、結構重要な要素が抜けているんですが、おそらくそうしたものは続編の「烙印を継ぐ者たち」で補完するんでしょうね。うばぁ、早く続編が読みたい。なにせこの続編、期待いっぱいな出だしと上記の要素を予期させるサーヴァントの面々が登場しており、さっそう期待するなと言う方が無理なほど。うがー、続編はまだかーーー!!!
2012年9月7日金曜日
SSメモ:開・運命の輪
開・運命の輪(神崎真亜)
くっはーー、これだよこれ!
外角低めのぎりぎりストライクな場所に鋭いけど愚直なまでのまっすぐを投げられて、手の出しようがないにも関わらずバッターボックスに立てて悔いのないと思えるこの感覚。設定も文体もキャラクターもどこか未熟で世界観すらも穴だらけなのに、きっちり読者のストライクゾーンに抉りこんでくるのは、作者のセンスを文字通り物語っています。これが書きたいんだ! と読者ほっぽり出して頭の中にある妄想をがばばーと放り出す作者のひたむきな情熱が、とくとくんと身に押し寄せてきます。
いやはや、これは無理だって。
開いてしまったらもう読むしか無い。
たとえ序盤がやや読みづらくても、改稿した後特有のちぐはぐな場所があったとしても、一度設定やらキャラクター同士の関係やらを把握してしまったら、あとはもう作者の抜群なコメディと心の機敏をうまく捉えたシリアス物語に、ひたすらのめり込むだけです。この途中からの読ませる力は鬼気迫ってます。もっと先が読みたい、先を、先を、と没入していく感覚はまさに麻薬。SS読者なんて大抵SSという麻薬の中毒者なわけですが、そんな中毒者でも満足する出来栄えです。
主人公の魁くんもいい味してるんですよねぇ。強さを隠すとか、過去にトラウマがあるとか、それなんて厨二病と思いましたけど、素の性格がツッコミ気質過ぎて、そしてストーリーのいたるところでツッコミせざるを得ない状況過ぎて、もはやかっこいいではなくかわいいになってる(笑)力を隠してる時も隠していない時も、こいつもはやツッコミしかしてなくね? あ、ヒロインやら周囲の人達からいじめられてる時のいじけっぷりもなかなかに板がついているか。つーか、生い立ちからしていじられキャラだもんね。生きてる限り、きっと魁くんはこう生きていくんだろう。
頑張れ、超頑張れ。
いやー、笑った。笑って、そして泣いた。
特に過去編読んでる時のあの尋常じゃない切なさ。
本編を読んでいるがゆえに、このなんでもない日常が、当然のように傍にいる人たちが、いつも見守っている英雄が、腫れぼったい息をついてしまうほど尊く感じてします。
なによりこうした背景を作者がしっかり練りこんでいるからこそ、本編のあの先の見えない焦燥感と緊張感が生まれるんだろうな。そりゃあ学園生活にもなかなか溶け込めないわー。現代日本の学校に戦時中の前線行きした子供をぶち込んで表面取り繕えと命令してるもんだし。
金払ってでも続きが読みたいSSって私の中ではたくさんあるんですけど、このSSはまさにその筆頭候補の一つですね。電子書籍として自費出版してくれたら、間違いなく飛びつきます。それくらい本当惜しいところで止まっているんですよ。物語の全貌がいよいよ明かされ、なぜ魔法みたいな力や学園という養成機関が存在するのか、そういった誰もがファンタジー世界で気にしない事を理路整然と説明し、過去の騒動から現在の状況を作り出すに至った黒幕の正体がようやく発覚した、まさにそのタイミングで、更新が途切れてしまっているわけですから、本当残念です。
二年越しに生存報告があり、どうやら作者の方は獣医試験に受かったようで非常におめでたいことです。もし可能ならこのまま連載してほしいんですが、獣医試験と同じく頑張ってもらえないものでしょうか……。
金を振り込む準備は2年前からしてますよー。
2012年9月6日木曜日
SSメモ:じゃぷにか闇の日記帳
じゃぷにか闇の日記帳(男爵イモ)
まずは落ち着こう。。
大丈夫、素数を数えるまでもなく頭は冷えてるし、目薬を差すほど目は疲れていない。
よし、このSSのタイトルをもう一度見てみよう。
じゃぷにかやみのにっきちょう。
ち ょ っ と 待 て 。
おいおい、冗談でなくなんだこのタイトルは。
ふらふらとSSサイトを周り、面白いSSないかなーと彷徨っているときにこんなタイトルみてしまったら、迷わずクリックしてしまうではないか!!
なんという作者の罠。
仕方ない、つられてサイトを開いてしまったのは自分だ。ここはこの作者のタイトルセンスに敬意を払って、読んでやろうじゃないか。たとえこのSSが普段は読まない一発ネタの短編SSだろうがリリカルなのはのSSだろうが、どんとこい!!
……どんと涙腺に来過ぎだ馬鹿野郎(泣)
うわぁ、これまたなんというか、リリカルなのはのSSで類を見ない話の構成です。
なのはSSって個人的なイメージなんですが、どうしても戦闘に偏ったSSかほのぼの日常のSSになる傾向が高いんですよね。あまり泣きの要素が入らないというか、楽しいことだけを描くというか……ぶっちゃけると別離を描くSSがなかなか存在しないわけです。その逆の別離しないようにするために奮闘するSSは大量にあるんですけどね。
ところがどっこいこのSS、トコトンそういったことに焦点を当てている気がします。
こういう作品には弱いんですよねぇ。悲劇が好きなわけじゃないんですけど、耐え難い理不尽に抗い、自分のやりたいことを成し遂げる人たちの人生を垣間見ることで、何かしら自分に勇気とか元気とか、そういったポジティブな感情を分けてもらってる気がするんですよ。このSSでも自ら率先して犠牲になり、主を守ろうとする闇の書の守護騎士達の生き様に、感嘆の息を吐き出すくらいにはその在り方に憧れる時があります。こうした思いを仮想体験できるSSは、やはり自分にとって時間を割いてでも読んだ価値があると思えるし、何度も読みなおして改めて自分の中の糧にしたいと思ってしまいます。
タイトルからも想像できますが、割りと作者のセンスがはちきれてます。
いや、むしろタイトルはほんの序の口で、セリフからキャラクターの造士に至るまで、SSの中で随所に作者の不可思議ワールドが展開されています。そしてそれがまた面白いの何の。読んでて全く秋がきません。だからこそ、このストーリー展開の切なさが増幅して読者の心に這いよってくるんですよね……。
登録:
投稿 (Atom)